トリガーポイント
全身には痛みを感じる器官である、侵害受容器が分布しています。過敏化した侵害受容器はトリガーポイントと呼ばれ、一般に筋肉表面の筋膜上にあり、筋膜の固着による組織の血流低下によって、局所的な酸素欠乏の状態になっています。
筋組織にみられるトリガーポイントでは、その場所の強い圧痛のほかに、圧迫により遠隔部に痛みが放散する関連痛が認められます。このため、自身が痛みを感じる場所とは別のところにトリガーポイントが見つかることも多くみられます。
小殿筋のトリガーポイントと関連痛
肩棘下筋のトリガーポイントと関連痛
図は 『Myofascial pain and Dysfunction The Trigger Point Manual』 より引用
筋膜性疼痛症候群
過敏化した侵害受容器であるトリガーポイントは、Fascia (ファシア) に発生しやすいことがわかっています。
Fascia とは、筋膜や腱、靭帯などの線維性結合組織のことで、この Fascia 上にあるトリガーポイントによって引き起こされる症状(痛み、しびれ等)のことを筋膜性疼痛症候群といいます。
トリガーポイントとなっている場所をエコーで観察すると、固着など異常のみられる Fascia は白く重積して見えることがあります。この病変部の Fascia を注射によってリリース (剥離およびリラクセーション) することで、血流不全を改善し軟部組織の柔軟性を回復できます。
治療によってトリガーポイントが消失すると、疼痛症状はかなりの部分で改善がみられます。しかし、トリガーポイントができる原因となる、組織の血流低下に関与するような生活習慣を改善しないと、トリガーポイントは再発してしまいます。
具体的には、① 運動によって筋肉を動かす、② 不良姿勢による筋肉の過緊張を改善する、③ 心理的な緊張状態をやわらげることが重要です。
クリニックで行う治療に加えて、自分のからだの状態、自分の健康を自主的に観察・管理することが、とても大切になります。トリガーポイントをケアするための自分でできるマッサージや、セルフエクササイズも効果的です。